腹黒元副盟主のわななき

黒い砂漠デネブ鯖『アークエンジェル』、リネレボフリンテッサ鯖「xxxMZRxxx」血盟所属の腹黒い事務員カタリナのリネとは無関係の駄文集

【父の膝の上でガンダムと叫んだケモノ】

ガンダム女子。これはカタリナを象る要素としては、ゲーマー・腐女子・元ヤン・元走り屋に続く五番目の要素だと思っている。「五番目は呪禁師じゃないの?」という方、あなたはリナをよく理解しているけど、まだ甘い。実はカタリナは、リネレボのワル茶のガンダム談義に参加しちゃうくらいガンダムが好き。アステア騎士団一部のオッサンの間では、クロネコ団にいたカタリナって女はガンダム好きの三十路で元腐女子、っていうのが有名らしい(ラインエ〇ジ氏談)。そりゃもう、南瓜様はじめとするガンヲタさんたちと1時間にわたりガンダム談義に花を咲かせ、Twitterでもガンダム好きを全面アッピールしているくらいだから、私からガンダム要素を取り除くのは、例えば、両方の小豆のような大きさの乳房が深くえぐれて中身が見えちゃうくらいの喪失感だ。うん、書いててちょっとアタマおかしいと思った。それくらいガンダムが好き。きっとガンダムがこの世になければ、タダでさえ小さな胸が更にえぐれてAマイナスカップくらいの極ちっぱいになっていたかもしれない。うん、狂ってやがるって自分でもはっきりとわかんだね。

さて、今日はわたしのおっぱいと同じくらいの体積率を占めるガンダムについてお話ししようと思う。まぁ、大したことない占有率であることは間違いない。ツッコミどころと、主義思想が絡んでくる複雑怪奇な話題なので、特にガンダムにおける主義が違う人はそっと画面を閉じよう。

 

かつて幾度かチャットでも話したことがあるかもしれないし、わなないたかもしれないけれど、物心つく頃から私は父上の膝の上でガンダムを観て育った。ちなみに私はリアルタイムではガンダムを観ていない。というかそんな歳ではない。初代機動戦士ガンダムの放映は1979年~80年、私はそれ以降に生まれたけれど、仮に生まれていたとしたら胎教代わりにガンダムを垂れ流されていたかもしれない

うちの父上も生粋のオタク体質で、自分の興味が向けられたものに対しては、母上に向けるそれの実に数百倍もの情熱を注いだ。

釣り好きが高じて、晩年(まだ生きてるけど)船を買って沖に出て釣りをするほどだ。また、刀剣の美しさにはまり、模造刀を自宅で鋳造してしまうほどのキチガイぶりだ。

現在は家庭菜園にはまり、実母(わたしの祖母)の実家が持て余した広大な畑を一人で趣味に使っている。とれた野菜は市場に並ぶことはないが、築地に持っていったらなかなかの値が付くと本職の農家さんが舌を巻くほどだ。

好きなことに情熱を注ぎだすとアホ程の潜在能力を発揮する、サイヤ人のような男である。

そんな、世が世ならアスペルガー症候群と診断されかねないわが父上は、どうやら戯れにTVで放映されていたガンダムをリアルタイムで観て、すぐさまハマったらしい。ガンダムで描かれるヒューマンドラマと、戦争の取り扱い方に感銘を受けたとのことだった。それまでのロボットアニメにありがちな勧善懲悪ものも見ていて気持ちいいが、きれいごとじゃあ済まされない戦争のおどろおどろしさと、戦争に叩きのめされたナイーブすぎる主人公が戦争を通じて人間的に成長していく様は、戦後7年でこの世に生を受けた父にとってはいろいろと重なるものが多かったのかもしれない。

彼自身はけっして繊細でもなければ、ニュータイプでもないチリチリの天パではあるが

ともあれ少々頭のおかしい父上はわたしの情操教育にガンダムを使うという、狂気じみた奇行に走る。PTAに吊るしあげられても何も言えない。そのためだけに当時高級品だったVHSを購入し、おなじくヲタクの彼の友人からガンダムのビデオをダビングしてもらい、居間で毎夜毎晩ガンダムを観続けた。もはや何周したのかもわからないくらい観た。なにせ、ご幼少のみぎりのカタリナさんは「シャアとけっこんする」と息巻いていたらしいから、4歳くらいの頃から二次元の世界にどっぷりだったのだ。正直こんな遺伝子要らない

で、うちのキチガイ親父は、娘が3周目か4周目を観終えてだんだんとストーリーを覚え始めると今度はモビルスーツの解説までするようになった。ガンダムガンキャノンガンタンク、ジムは言わずもがな、ザクⅡ、グフ、ドム、ゴッグズゴックアッガイゲルググ、ギャン、ジオング。わざわざ中学生が買うようなモビルスーツ図鑑みたいな本まで買ってきてのガンオタ教育ぶり。うん、アタマおかしい

 

今思うと、このままこの父上によりオタクの英才教育を受け続けていたらどっぷりガンオタガンダム女子まっしぐら。キラキラ小説なんて読むこともなかったし、少女アニメを観るなんてこともなかったし、オスとオスの世界になんて目を向けることもなかったはずだから、カタリナという名の腐女子は誕生していなかったかもしれない

実際は父の英才教育はとどまることを知らず、進行性の病巣のようにリナの心身を蝕んでいくのだが。

ところが、このオタクの英才教育を陰ながら憂い、「娘が遠い世界に行ってしまうのではないだろうか」と危惧している人物がいた。

もう一人のキチガイ、我が母君である(第2回参照)。アタマは少々おかしいが、それでも一人の女性。娘がロボットアニメに傾倒し、生粋のキチガイ父上の色に染まりゆくのを黙ってみていられなかったらしい。とはいえ、典型的な昭和の中流家庭な我が家。ご多分に漏れず、家庭の決定権は絶対的に父親が握っていたため、母君が表舞台で発言することはほとんどなかった。そこで彼女は一計を講じた。それは弟を作ること。

「男の子をもうけてしまえば、娘がガンダムから解放されるかもしれない」

そう考えた母は、それはもう熱烈に弟が生まれることを望んだらしい。あくまで表向きは、リナがひとりっ子でかわいそうだからとのことだが、その実は悪魔の父から娘を取り戻すだったという。その涙ぐましい努力は生々しいので割愛するが、その甲斐あってかリナが5歳の時、待望の弟が爆誕する。生まれながらにしてオタクになることを運命づけられた子である。事実彼は将来、父親の負の遺伝子を如何なく発揮して私でもドン引く位のキチガイに成長するのだが、それはまた別の話。

 

数年後、母君の思惑がさく裂し、弟が物心つく頃には彼が父親の「ガンダムを使っての英才教育」を受けることになり、リナは解放された。

かに見えた

が、時は1986年前後。賢明な読者ならお気づきかと思うが……機動戦士ガンダムの続編にあたる「機動戦士Zガンダム」が放映されていた。ここまでの間にザブングルダンバインバイファムエルガイム綺羅星のごときロボットアニメが放映されていたのだが、ガンダムに傾倒しているキチガイ親父はガンダム一択。弟も私もZガンダムを今度はひたすら見させられることになる。どうやらガンダムトミノ監督、そして我が父上に終わりが来ないと真の意味でリナが解放されることはないらしい…。

それでも、弟を生贄にして普通の女の子としての道を見出すことに成功した私は、間もなく小学校に上がり、そこで出会った友人たちと母の望むような交友関係を築き、表面上は普通の女の子としての生活を送る…心の奥底に小さな火種を燻ぶらせながら。その火種はほんの数年後にはあることをきっかけに、取り扱いに困るくらい大きくなり、ガンダムを主軸にさらに幅の広いオタク道へとリナを導いてしまうのだが…それはまた別の話。

 

【次回予告】

弟を犠牲にして、ガンダムからいっときは解放されたリナ。ところが、この世の混沌を司るヲタ神は徐々にリナの心身を蝕む。数年後、受け手としての腐女子であることに満足できなくなってきたリナ。暴走し、ほとばしる情熱とひとかけらの才能…。美術室で出会った才女に、ついに禁断の扉をこじ開けられる。

次回、「瞬間、心腐れて」

この次もサービスしちゃうわよぉ