【音楽ビンボーとFF11への誘い(前編)】
腐女子を卒業して、大学デビューを果たしたリナ。大学時代はわたしの後期人格形成の一端を担っていたといっても過言ではありません。
外国語学部で有名な某大学に進学したものの、最初の1年で学ぶべきことをすべて学んだと勘違いした私は、入学当時から加入していた軽音楽サークルでの活動に没入していきます。寝ても覚めても音楽、音楽。講義もさぼって音楽、音楽。単位を落とそうが、同クラスの子たちに心配されようが知ったこっちゃない。
そりゃもう狂ったように、親の仇かってほどシンセ弾いていましたね。世が世なら、新型鬱病とか大人のADHDと診断されてもおかしくない。ほんと頭おかしい。
話を戻します。音楽ビンボーな私は当時塾講師のアルバイトをしていたのですが、あまり有名ではない個人経営の学習塾だった為か、お給料も少なく、収入はすべて日々の生活に消えていき、このままじゃ楽器も買えない!という人生の岐路に立たされていました。いっそのこと売ってしまおうかとも思っていたS13シルビアが峠道で天に召され、商売道具のシンセだけは絶対売りたくない・・・と、転職を決意したのは21歳のころだったかと記憶しています。
そのころは勤め先で主任講師になっていた上に、オーナーに気に入られて、塾の一室(マンションの一部屋)を格安月額20000円の支払で間借りしていたのですが、転職に伴い実家からの通学に切り替えます。まぁ、正直なところオーナーが講義中の私のケツばかり見ていることを生徒から密告されて若干引いたのが原因の一つなのですけどね。ふぁっく。
さて、故郷に戻ったのはいいが、千葉県外房の田舎町で生活するには足が必要・・だがしかしシルビアは天に召されている・・さらに不便なことに、実家は最寄り駅から車で15分、頼みの綱の路線バスは一時間に2本、私が日々肩からぶら下げて歩いているシンセは重量18㎏。自転車で通うのはさすがに無理だし、新たな足が必要・・・と、これは相当稼げる仕事を探さなきゃいけないな、と思っていた矢先に、前の職場のアルバイトスタッフ募集の広告を見つけます。
時給1215円~誰でもできる棚卸スタッフのお仕事。
週2日から応募可。短期バイト歓迎。
高時給なのも、誰にでもできる簡単なお仕事というのにも心惹かれて、
『とりあえず2,3日出勤してみてダメそうだったら辞めよう』
くらいの軽い気持ちで応募しました。・・・・・・これが地獄の入り口とも知らずに・・・。
さて、さほど意気込んだわけでもなく何となく面接をパスして、初日の研修を終えた感想としては、業務内容はいたって簡単。小売り店舗が閉店した深夜に、そのお店の商品を数えて、腰にぶら下げた大きな電卓のような機械に「どの棚に何の商品が何個あるのか」を入力していくだけ。ただ、その会社が推奨しているのは機械の画面も見ずに、テンキーをブラインドタッチで入力すること…指が速くてテンキーをブラインドタッチできる人は意外にもごくまれで、ほとんどの新人さんは画面もテンキーも確認しながら入力するのでスピードが遅い。画面を確認すると、視線が商品から逸れてしまうのでミスが多い。多くの新人さんは十人一絡げでまとめられており戦力としては見られていない→仕事がつらく感じる→離職する→新たな新人さんを投入→エンドレス、という自転車操業みたいな会社でした。
が、皆さんはここで思い返してほしい。
リナのスペック:狂ったようなシンセ弾き。UO(前回の駄文参照)にドはまり。
シンセ弾き⇒指、速いよ。五本の指が自由に動くよ。
UOにドはまり⇒チャットモンキーかってくらいに狂おしいほどブラインドタッチだよ。テンキータイプなんて楽勝w
そう。この会社が新人に求めるスペックを軽くオーバーしています。案の定、事件は起こります。
現場初日どこかのスーパーでの棚卸。顧客の棚卸方式は少し特殊で、通常バーコードをスキャンして数量を入力するだけなのですが、このお店は価格と数量を入力しないといけません。言ってしまえば、研修中の新人が行くような企業ではないです。けどリナは違いました。
通常その顧客における生産性(1人当たり一時間に何個数えられるか)は、新人で1000個/H。ベテランさんでも4000個/Hくらいで設定されていましたが、その日のリナ→4500個/H。
初日からやりすぎました。案の定「ヤバイ新人が入った」と現場責任者たちの間で噂となり、入社から1週間経過するころには「次の繁忙期には責任者教育するからね」と営業所長に見初められ、お小遣い稼ぎ目的で入社したはずが、あれよあれよという間に気が付いたら責任者になっていました。ガッデム!
もうこの会社からはしばらく逃げられない・・学生なのに・・。
余談ですが、責任者ってただのバイトリーダーにしか見えないんですけど、行く企業によってはとんでもない大物と対峙しないといけない場面があって、リナが現役時代いちばん対決してしんどかった大物はAE〇Nの副社長や、東急〇ンズの本部長、〇紅の社長、西YOUの取締役など、大型チェーンのお偉方。二度と会いたくないなあ、特にA〇ONの副社長(笑)
話を戻します。ちょうど私がこの会社に入社した年、日本ではファイナルファンタジーⅪ(以後FF11)が発表され、UO、リネージュ、ラグナロクオンライン、天上碑などのMMO業界に新風が巻き起こっていました。ボーダーレスなワールド、PKレスなシステム、MMOのくせに妙に設定やストーリーがしっかりしている等、国産MMORPGとしては伝説級の作品です。わたしはというと、発表当初は忙しさを理由に避けていました。ついでに言うと、求められるPCスペックが当時としては高すぎて、当時私が持っていたT君からもらったPCや、うちのキチガイ少々頭のおかしい母上のFMVでは動きもしませんでしたので、どちらにせよプレイできない状態でした。…が、責任者として激務をこなすようになってひと月がたった給料日、ワクテカしながら給与明細を開くと21歳の女子大生には普通じゃ稼げない額の給与36万円が振り込まれていました。長時間労働による残業手当と責任者としての現場管理手当が増えただけで軽く額面で40万円を超えていたのです。加えて、責任者の統括をしていたちょっとイケメンの先輩が無類のFFフリークで、繁忙期の終了とともにFF11休暇をとってヴァナディール(FF11世界の名前)の住人となったのを横目にみていたら沸々とFF11やりたい欲望が湧いてきて、気が付けばドスパラでPCを買っていたのでした。
(後編に続く)