腹黒元副盟主のわななき

黒い砂漠デネブ鯖『アークエンジェル』、リネレボフリンテッサ鯖「xxxMZRxxx」血盟所属の腹黒い事務員カタリナのリネとは無関係の駄文集

【レジデンス・オブ・イービル(後編)】

(前回までのあらすじ)

弟、水戸の土地でゾンビになる。ぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺぺ。
katharinars3.hatenablog.com

 

危ないところだった。もう数日来るのが遅ければ、うちの愚弟はこの世に居なかったかもしれない。

とりあえず、私は大家さんと不動産屋さんに愚弟をキングど田舎シティへ連れて帰ることを伝え、骨と皮のガラクになり果てた愚弟を私の車に押し込む。 

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長男が生きていたことをひとまず喜ぶ母。泣きすぎて化粧堕ちかけてた

部屋に乗り込んだ時はゴミ屋敷という感想しかなかったが、

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改めて振り返り部屋を見ると、ここ数日食事をした痕跡が全くなかった。炊飯器の中にはカピカピになった白米が一握り分ほど。電気が止められているらしく、保温もできなかったのだろう。

冷蔵庫の中身はほとんど空っぽで、かつて麦茶だったであろう液体がポットに入ったものが入れてあったが、電気が止まって何日過ぎたのかわからないが異臭を放っていた。

こんな状態になるまで何故SOSを寄越さなかったのか謎だが、生来のコミュ障が災いしたのか、はたまた家族の反対を押し切って一人暮らしを始めた手前、恥ずかしくて言えなかったのか、いずれにしてもなかなかヒドイ有様だった。

 

とりあえず栄養失調でガリガリにやせこけてゾンビにしか見えない愚弟を連れて、車で少し走ったところにあるレストランで昼食をとることにする。

移動中の車内でも弟は無言でうつむいたまま。時折母が話しかけると声を発するでもなく無言で頷いたりはしているようなので、ぎりぎり受け答えはできるようだった。

 

何日ぶりの人間らしい食事だったのだろうか。文字通り貪るように肉塊(ハンバーグ)をガツガツ食べる弟。もともと大食いな性質ではなかったが、ゾンビ化して食欲が前面に出てきたらしい。バイオハザードの最初のゾンビみたいだった。

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母は食事中もしきりに弟に話しかけていた。

仕事はどうしたのか。彼女はどうしたのか。なぜ連絡を寄越さなかったのか。

そのほとんどの問いかけは無言で返されたのだけれど、食事を終えて愚弟に血色が戻ってきたころ、ぽつりぽつりとゾンビが語り出した。

 

 ***

 

水戸に移住後、〇光義塾という個別指導塾とフランチャイズ契約をしていた地場企業でエリアマネージャーとして正規雇用された弟は、しばらくは粛々と就労していたようだが、地場企業にありがちなブラック体質に耐えられなくなって段々と自律神経をやられていたようだ。

 

朝オフィスに出社後、市内数か所の全教室を回り、昼間は駅前でのチラシ配りとポスティング、夕方から稼働する教室を回り講師陣とミーティング、講師に欠員が出たらその代行もさせられ、夜は講師たちのシフト作成・管理。業務を教えてくれるはずの先輩社員もおらず、ほとんどアドリブだったらしい。これらに加えて、クレーム対応、生徒とその親御さんとの面談、進学先の情報収集、入れ替わりの激しい講師の募集対応、月謝の徴収とその検算、その他事務仕事全般…とてもではないがろくに社会経験を積んでいない新社会人に耐えられるほどの仕事量ではなかったのだろう。多分。

 

結果、愚弟は壊れた。業務放棄に近い状態で数日を過ごし、致命的なミスを犯した。

月謝の計算が合わないが、管理を怠ったため、どこの生徒さんが未払いなのかがわからなくなってしまった。会社からは散々にこき下ろされ、始末書の束を作成することになった。

その辺りで、彼女に対して愚痴が増えたのか、あるいは無能を見透かされたのか、弟はあっさりと捨てられた

仕事は何とか首の皮一枚で繋がったが、失態の責任を取らされ、嘱託社員に降格された。

嘱託社員といえば聞こえはいいが、同一賃金同一労働の原則からは外れた処遇だ。

同じ業務を時給でやらされる上に、残業についてはみなし残業なのだ。月収は半分になったらしい。懲戒処分にならない代わりに、自主退職を暗に促す中小企業にありがちなやり方だ

食わねばならぬ一人暮らし。弟はそんな状況でも数か月耐えたが、ついに退職した。

そしてぎりぎりの生活すら送ることができなくなり、今に至る。

 

母はその話を聞きながら時折「バカだねぇ」と眉をひそめながら言い放ち、私は「うん、アホだね」と相槌を打っていた。

 

この程度の境遇の人間など、現代社会においてはごまんといる。こいつ一人が不幸なわけではないのだ。

同情すべき点は多少なりともあるが、この世の不幸を一身に背負ったかのような語り口に腹が立った。

まして、こいつはあのキチガイオヤジの血を色濃く引いているはずなのだ。この程度の不幸など跳ね除けるくらいの気概が欲しかった。だって、簡単に言ってしまえば

「親の反対を押し切って女の尻を追いかけて、できもしない一人暮らしを始めた結果、生活が破綻して死にかけた」

ってだけだもの。全部自分のせいじゃん。今の状態だって因果応報

挙句に、その尻ぬぐいを家族にさせているのだもの。むしろ母が不幸だ。

私は弟にだけは容赦しない

家族の絆を大事にしない奴に、他人との絆なんか構築できない。こちらが差し伸べた手を払いのけるような奴なんかに。

 

そう思っていたが、それでも母は何とかしようと手を差し伸べた

さすがに、自分がお腹を痛めてひり出した長男を見捨てることは出来ないらしい。仕方ないから、これがラストチャンスと思って母に協力することにした。

 

***

 

1週間後、再び私は水戸を訪れていた。

今度は当時付き合っていた今の旦那様を連れて。あの惨状を私と母で片付けるのは体力的にも無理だし、弟は母と公共料金の支払いやその他諸々の引越しの準備に奔走しなければならないため、彼を駆り出した。

うちの旦那様は、家の中では気持ち悪いくらいの甘えん坊だが、外に出ると鬼軍曹といわれるくらいの漢だ。きっと母の前でなら普段以上に働いてくれるに違いない。

 

***

 

改めて愚弟の部屋を見る。

どこから手を付けたら良いのかわからないほどのゴミ屋敷だ。よく夕方のニュースで特集を組むようなゴミ屋敷があるけど、ぱっと見はあんな感じだ。

 

ひとまず母と弟は東京電力やガス屋、水道局へ出かけ滞っていた公共料金の支払いと2週間後の解約の相談に出かけ、私は旦那様と黙々とゴミを片付け始めた。

 

電気とガスはひと月滞納すると止められるが、水道まで止められるのは末期だ。これだけをすべて一括で支払うと数万円が吹っ飛ぶ。これは全額母が負担した

一方ゴミはというと、純粋な可燃ごみだけで45リットルの指定ゴミ袋10袋がいっぱいになったが、まだ入りきらないゴミが沢山。

中身は弁当の容器や紙パック飲料のゴミ、古新聞や塾のチラシ、生ごみ使用済みコンドーム、TENGAなど。

アパートのゴミ置き場を弟が出したゴミが占拠した。

片付けている途中でヤバいものが沢山出てきた。

勤め先のチラシに混じって、生徒さんの個人情報が記載された入塾届。これはさすがにそのままの姿では処分できないので、旦那様に駐車場の一角で焼却してもらった。

 

駐車場といえば、弟が知らぬ間に買っていた軽自動車、ローンの保証人がヒカル(元カノ)になっていた。どこまで愚かなやつなのだろう。しかも、ポストにヒカルからの手紙が入っているのを母が見つけて内容を確認、その場で激怒していた。

「私が保証人になっているものすべての契約を変更し、保証人を変えてくれ」的な内容だった。車のローン、クレカ、家賃の連帯保証人。

別れた後、ヒカルとは一度も連絡を取っていないとのことだったが、正確にはヒカルはコンタクトを取ろうとしたのだが、うちの愚弟が拒否をしていた模様。どこまでクズなのだろう。

愚弟の軽自動車はガソリンが極限までなくなりかけていて、エンジンをかけた瞬間にガソリンランプが点滅したらしい。ひやひやしながら最寄りのガソリンスタンドまで行き給油したらしい。当然これも母が支払う。

驚いたことに、弟の財布の中身は小銭が数十円。預金残高は9円だった

職を失い、生きる気力もなく、仕事を探す気もなくなっていた愚弟。コミカルに描いてはいるけど、多分あと2日くらい私たちの到着が遅ければ死んでいたね。

 

昼過ぎには電気が復活したので速攻エアコンを稼働させる。フィルター清掃なんか全くしていなかったのだろう。この世のものとは思えない悪臭がエアコンから噴き出してくる。

私の悪心を察したのか、速攻旦那様が持参していたエアコンフィルター用のスプレーで清掃してくれる。ゴミ屋敷に似合わないフローラルな香りが部屋を満たした。

 

母が途中にコンビニで買ってきてくれたお弁当を4人でかきこみ作業を再開する。

 

あからさまな可燃ごみの袋詰めが終わったので、次に弟でなければ判別できないものの仕分けを始める。

床に散乱した洋服や、下着類。当然といえば当然だけど、ヒカルのものと思しき下着も出てきて「うわぁ・・・」ってなった。

 

何か月干していないのかわからない布団は旦那様がカッターで切り刻みゴミ袋の中に。

実家に持ち帰っても置き場のない食器類はまとめて段ボールに。

布団の周りに所狭しと鎮座していたメガストア快楽天はすべて紐でまとめてひとまずベランダに置いた。

部屋の中にはこれでもかってほどの漫画が散乱していたけど、愚弟はもう読まないと抜かしよるので、すべて段ボールに入れて我が家に持ち帰り。後日すべて売却し、ここまでのわたしたちの手間賃として頂戴することにした。

陽が暮れるころまでかかって、床に散乱していたものはほとんどがゴミとなり、一日目はここまでで終了。

真夏だったせいもあって全員汗だくで帰路につく。

 

***

 

二日目。3連休がまるまる愚弟のせいでつぶれることになる。

昨日の時点であらかた床は片付いたので、今日はクローゼットの中と、水回りの清掃がメインだ。

ユニットバスもなかなかにカオスだった。

端的に表現して、「ヘドロいっぱい」

あまりの汚さに私は半狂乱になって塩素系洗剤で磨き続けた。

トイレとお風呂を掃除しただけで半日潰れるとかアリエナイ

 

母はキッチン回りの清掃。排水溝に溜まったヘドロを歯ブラシでガリガリ削っていく。途中でギャアとかウワァとか凡そ掃除中には出ないはずの悲鳴が聞こえるがもう気にしている余裕はない。

 

旦那様は床と壁の清掃。オレンジオイル系洗剤で二度三度と磨いていく。弟はヘビースモーカーだ。床はともかく、壁のヤニ汚れは尋常じゃなかった。もうね、深夜のショッピングチャンネルで紹介しているような洗剤のビフォーアフターみたいになってた。

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弟はというと、市のごみ処理場に直接持っていけば引っ越し時のゴミを引き取ってくれるというので、ゴミの運搬をしていた。途中で水分でも取りなさいと母に1000円のお小遣いをもらって出かけたが、あのクソガキは煙草に使いやがった。生粋のクズだと思った。

 

午前中であらかた清掃が終わったので、ラストスパートとばかりにクローゼットの中を片付け始めると、母が「ナニコレ?お姉ちゃん知ってる?」と私に持ってきたものがあった。

 

ディ〇ニーのイラストが描かれている可愛らしいデザインだが、どこからどう見てもピンクローターだ。

「・・・」

 

私も旦那様も絶句した。うん、知ってる。知ってるけど説明はしたくない。しかも使用済み。多分、夜な夜なヒカルとの営みに使用されたのだろうけど、捨てとけよこんなモン…。後生大事に取っておくものでもないだろ。

「あ、まぁ、これはゴミでしょ。ゴミ」

と旦那様が即刻ゴミ袋に放り投げた。

これ・・・もしかしてその手のグッズがクローゼットの中にひしめき合っているのだろうか・・・。さすがにオカンがそれらを探り当てるたびに私の所に持ってこられるのは耐えられそうにないくらい辛い。

私は母と交代し、まさに地獄絵図となったクローゼットの中を整理し始めた。

 

ここ数年、弟がどのようなナイトライフを送ってきたのか想像したことなんてなかったけど、よく考えたらコイツは肉欲の権化だった。

出るわ出るわ、おもちゃの類が

電動こけし

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電動マッサージ機

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ピンロー、ディルドー、オナホ、ローション(ペペ)数本、媚薬と思しき塗り薬、アイマスク、ピンクの蝋燭、おもちゃの手錠、チャイナドレス…etc。

 

本気で殺意が芽生えたからね、弟に対して。T-ウイルスあったらコイツに打ち込みたい。打ち込んだ直後にヘッドショットしたい。

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コイツとヒカルは夜な夜などんなプレイしてたんだろ・・・と、旦那様との間にも微妙に気まずい空気が流れる。別れた女と使った玩具の数々を後生大事にとっておくとか、女々しいを通り越して、マジにアタマおかしい

 

カオスなクローゼットの中身は可燃ごみ以外全てそれらで占められていたので、問答無用で不燃ごみイキ。オカンに説明するのも煩わしかったので無言で廃棄

弟はどんな気持ちで次々とゴミ袋に放り込まれるそれらを眺めていたのだろう。

 

二日目も何とか乗り切った。弟への殺意は増大するばかりだけど、やり切った。

残すは3日目。オトンも出動しての引越しだけだ。

 

***

 

3日目。今日で3連休も終わり。まじふぁっく

 

いつも通り朝イチにキングど田舎シティへ赴き、母をピックアップする。

今日は我が家のキングオブキチガイこと父上が運転する4tトラックに弟を押し込む。

父が会社から無断借用したトラックにはナビもついているし、住所さえ知っていれば単独で辿り着くことも可能ということで、全く後ろを気にすることもなくハンドルを握る私。

3日目ともなると道も覚えてナビなしでも水戸までスイスイ行けるようになっており、まぁ二度と訪れたくないけどアパートに到着。

まずは大家さんにご挨拶し、滞納していた家賃を支払う。ほんとにあいさつ程度だけど菓子折りを持って。ここの大家さんは本当に人が良くて、ご迷惑をおかけしたことなど気にもしていなくて、むしろうちのゴミみたいな弟の行く末を案じてくれていた

こんな良い大家さんの部屋で夜な夜な怪しげな嬌声を上げさせて肉欲に溺れていた我が弟は本当にキングど田舎シティに帰ったら死んだほうがいいと思った

 

引越しの荷物はテレビ、CDコンポ、ゲーム機などのデジタル家電と、洗濯機、冷蔵庫の大型の家電。そしてテーブル代わりのミニちゃぶ台と一人掛けのソファが2セット。あとは段ボールに詰められた書籍が数箱だけだ。

 

積み込みは父と旦那様、弟の3人で行い、滞りなく終わった。

私と母は荷物が退けられた箇所の拭き掃除と、ダメ押しのトイレ掃除を行い、不動産屋さんの退去時チェックの応対をした。さすがに3日かけてみっちり掃除したからか、すべて敷金で賄えるとのことで、追加徴収なし。

ここに至るまでで、オカンは20万円くらいどぶに捨てているので僥倖だった。

洗濯機は新古品だったので途中私の部屋に寄ってもらい交換、冷蔵庫は家電量販店に立ち寄り引き取ってもらった。家電リサイクル法の関係で5000円くらい取られたけど、差し引きしても洗濯機がリニューアルして、愚弟の部屋から持ち帰った書籍を売り払ったおかげでほんのわずかだけど黒字だったのでよしとした。

 

***

 

かくして、ゾンビになった我が弟の水戸ライフは幕を閉じた。

キングど田舎シティへの帰還後、愚弟のお金関係を洗っていくと、負債だらけでとんでもないことになっていた。

大学時代に貸与されていた奨学金の返済も滞っていたり、クレカのショッピング枠の支払いがかなり残っていたり、車のローンの支払いが滞っていたりと、結局100万円くらい母が肩代わりした。あまりにも母がかわいそうなので、私も少しだけ背負ってあげたけど。

父上は「弟は心の病気だからしばらくはそっとしておこう」と的外れなことを言っており、あのくそったれ弟はニート生活を送り、ようやく働き口を見つけたのは半年後の事だった。

その間も、妹はゴミを見るような目で弟を見ていたに違いない

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母はというと、彼女なりに一生懸命弟のために働き口を探して歩いたようで、「世のお母さんは偉大だな」と思うばかりだった。

 

***

 

先日、久方ぶりに実家に帰省したおり、母と談笑しているとふいに弟の話題になった。

話を聞くと、あれから数年が経過して弟もすっかり中年太りし、みるからにふてぶてしく生きているらしい。仕事も慣れたらしく毎晩遅くに帰ってくるらしいのだけれど、相変わらず自分の好きなことにしかお金を使わないらしく、あの当時母が肩代わりした借金も返ってくる気配がないらしい。

ただ、女には懲りたらしく、帰省後も女の気配が全くしないらしい。もう三十路はとうに超えているのだから、そろそろ、と思わなくもないのだけれど、もしかしたらホモに逆戻りしてしまったのだろうか・・・?

 

少し心配になったので、奴が外出しているの隙に、弟の部屋を覗いてみた。

・・・タバコ臭い。そして、タバコに混じってなにか他の異臭がする。

 

閉め切られたカーテンを開けて、陽の光を部屋に入れる。

 

相変わらず、整理整頓とは無縁のきったない部屋。

ふと視線をヤツの寝床に移す。

 

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・・・奴は何も変わっちゃいないと思った

誰かアイツをキルして・・・。