腹黒元副盟主のわななき

フリンテッサ鯖「xxxMZRxxx」血盟所属の腹黒い事務員カタリナのリネとは無関係の駄文集

【腐りゆくリナのお話(後編)】

「前回までのあらすじ」

命…夢…希望…、どこから来て、どこへ行く?そんなものは…すべてやおいに帰着する‼

と、腐りきった小学校の保険医のかけた呪いによって腐海入口の扉の前に立つリナに明日は来るのか!?「世の中、腐ってやがる(腐女子的な意味で)」

 

腐りきった保健医によってもたらされたマインドスクリーン。挿絵がキレイな小説だなー、とその時はちょっと気になる程度の軽い火傷を負っただけでしたが、その日の学校の帰り道に仲良しグループで和やかに談笑しながらの道すがら、とある娘っ子が爆弾発言をします。

「保険医の持ってた小説(マインドスクリーン)…読んでみようかな…」

ここにも高河ゆんの挿絵に心奪われた腐りかけの女子が居りました。

はたして、この駄文の読者にわたしと同世代の女性がいるのか、果てには小学4年生あたりからキラキラ小説(ティーンズ文庫などのライトノベル)を読み漁っているキッチュな乙女がいるのかは不明ですが、わたしは当時「アナトゥール星伝シリーズ」という、折原みと先生の異世界転生もののラノベにはまっていました。完全な少女趣味。物心つく頃から少々頭のおかしい父上の膝の上でガンダムを観て過ごした生粋のオタク体質だったわたしは少女小説を読むことも、ロボットアニメを観ることも、天空戦記シュラトを観ることも全く抵抗がありませんでした。気が付くと、私はマインドスクリーンを読むとのたまった腐女子予備軍のゆかりちゃんと待ち合わせてその日のうちに書店へと足を運んだのです。

しかし、片田舎にある町の書店は現代のようにBLコーナーが充実しているなんて言うことはなく、やおい小説など店舗のどこにも陳列されていないのではなかろうかというほどに品ぞろえが悪かったのです。店員に尋ねたところで「うちではお取り扱いがございません」と無情な答えが返ってくるだけでした。悲しそうに帰路につくゆかりちゃん。そこへ、生粋の純粋培養オタク体質のわたしに天啓が閃きます

「BookBoxに行ってみようよ。あそこなら置いてあるかもしれないし、中古本だから安く買えるかもしれない」

BookBoxというのは、私の住む町の古いアーケードの一角にポツンと建つ古本屋さんであります。見るからにオタク、さもいえばオタク臭がプンプン臭ってくる感じの脂ぎったオッサンが店長を務める、コミックの品ぞろえは市内随一、アニメグッズまで置いている、キングど田舎シティのオタクたちにとっては聖地とも呼べる店でした。私もお小遣いをもらうたびに足しげく通い、ラノベをあさったり好きな漫画を安く買ったりしていたものでした。ここならやおい小説の1冊や2冊簡単に手に入るかもしれない!そう思い二人で意気揚々と店内に入ります。個人経営の割には広い店内の通路の中ほど、少女小説ラノベが陳列されている棚にそれはありました。

「あった!あったよ!」

ゆかりちゃんがいち早くマインドスクリーンの1巻目を見つけます。だがしかし、1巻目は在庫が1冊しかない。

「1冊しかないね…」

通常の本屋さんにはストッカーと呼ばれる引き出しが最下段についており、そこに在庫が入っているのですが、このお店にはそんなものはありません。つまり、棚にあるものが在庫の全てです。お目当ての腐った小説はわたしとゆかりちゃんのどちらかの手に握られることとなります。

ですが、わたしはその時はまだやおい小説の中身というよりは、高河ゆんの挿絵に心惹かれていただけでしたので、潔くゆかりちゃんにマインドスクリーンを譲ります。

「わたしはここのお店良く来るし、また入荷されたらその時買えばいいよ。わたしが買うより前にゆかりちゃんが読み終わったらそのとき貸してね」と、マインドスクリーンはあきらめ、その代わりになにかラノベでも買って帰ろうと店内をうろうろしだした私。そこで私はこの後10年ほどの人生を変える出会いを果たしてしまいます。

ここBookBoxの最深部に、素人は近付いたらいけない雰囲気を醸し出す薄暗いゾーンが存在していました。裸電球で故意に薄暗くしているようにも感じられるその一角。普段は大人なお姉さんが占拠していたり、見た目にも太ましい男性が立ち読みをしているため近付かないゾーンでしたが、その日に限り店内にお客はわたしとゆかりちゃんだけ。いままで足を踏み入れることのなかった神秘のゾーンを覗いてみることにしました。

 

『えっ』

何だこの不思議な本たちは。なんで私たちの知っている漫画のキャラクターたちをまんまパロった本がこんなにたくさんあるんだ。そして、この薄さは何なんだ。20ページくらいしかない…。印刷も雑だし、ひどいものは白黒コピーされた原稿をホッチキスで止めただけのような本まである…。

薄暗い最深部のゾーン、実に本棚3スパン分が丸々同人誌コーナーでした。所狭しと本棚にひしめき合う薄い本たち。なんだか原作よりかなり下手くそな絵の本から、原作のクオリティを完全に超えてしまっている作品、表紙を一目見ただけでホモ本、エロ本。タイトルだって

「幽介、挿入れられる」

「おてんば姫と棒剣」

亀仙人×ブルマ10本勝負」

とか、アタマおかしいとしか思えない。

倒錯的すぎて小学4年生にはついていけません。うわーうわーうわー、こんな世界があったのか…と、その場から走り去りたい気分になりました。そうか、いつもあそこで立ち読みしているお兄さんはこういうのを読んでいたのか・・・。そういえば昼間学校で保険医(キチガイが、男性が興奮したときのカラダについて教えてくれた・・・。…文字通り立ち読みだったのか…。うわー…と、ふと一冊の幽☆遊☆白書のパロ本が目に留まります。

「Wild Wind」

黒一色の背景に、抱き合うでもなく適度な距離感で描かれる飛影と蔵馬。中身は…ビニールでシールドされていて読めない…。中身が確認できないけど、この表紙ならそこらのエロ本ではないと思う…。値段もお手頃。表紙の絵もキレイだ…。そういえば、一期一会って言葉をきのう国語の時間に教わったっけ…。と、一大決心し、その薄い本を手に取りレジに向かうリナ。妙に手に汗握っていたのを今でも覚えています。そう、最初に手に取った薄い本は幽☆遊☆白書の蔵馬×飛影の本

ゆかりちゃんにあのときマインドスクリーンを譲っていなければ、カタリナという腐女子は誕生していなかったかもしれません。

以前、とある禅宗のお坊さんに、人生は常に「やるか、やらないか」の二択問題を強いられている。どちらにも正解はないけれど、選んだ答えの先にはすぐにまた別の二択問題がある。そうして無限に枝分かれしていく分岐の着地点が人の死ぬときにやっとわかる。

「あのときこうしていれば」と思える分岐も、分岐と気づかず無意識に選択したそれも、やってよかったと思えるものも、かならず意味がある分岐だ。人生の分岐点に無意味なものはない。すべてがあなたを象る要素の一つとなるものだ。だから、後悔なんてしなくてもいいのですよ…と。なるほど、今思えばあの時薄い本を選んだのも間違いではなかったのかもしれない。

 

その日の夕方、ゆかりちゃんとお茶をして別れた後、ワクテカしながら持ち帰った薄い本を帰宅後すぐに開封ましたが…

 

 

 

 

 

全編蔵馬×飛影のエロ本だったわ!!

 

私の悶々した時間を返せ!

…やっぱり、選択を誤っていたのかもしれない。

 

【次回予告】

オタクの申し子カタリナも、純新無垢なそれはそれは真っ白な時期があった。しかしその期間は正真正銘の彼女の父親によって破られる。驚愕する母親。心配する祖父母。そして汚されゆくカタリナ。弟が生まれたことにより、彼女の世界は更なる混沌へと堕ちていく。

次回「父親の膝の上でガンダムと叫んだケモノ」

さーて、来週もサービスサービスぅ!

(エヴァンゲリオン次回予告の曲で)